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チャレンジ|ちょんまげネコ

有名になって、お金をがっぽり稼げる人になる!



少し前まで私の頭の中には常にそんな欲求があった。自分はあれがダメ、こうだからダメなんてダメだしをし続け、自己肯定感が海よりも低くなったからこそ生まれた願望。

それは、嘲笑うかのように何をしても叶うことはない。現実と理想を比べて落胆するだけ。


周りから認められて愛されたいという理由だけのハリボテの願いだと気がついたのは本当に最近。心がボッキリ折られる出来事が起こり、そこから精神的に自立したいと思い始め、自分で自分に目を向け続けようとすると、いつしかその欲求は薄れつつあるのだった。

自分に目を向けた事としてやったのは、いつもよりワンランク上の美容院に行くとか、気になるけれどどうやって入ればいいかよく分からなかったマッサージ屋に飛び込んでみるとか、人から見ればほんのちょっとしたこと。


それでも私にとっては大きな事なので、めちゃくちゃドキドキする。店員さんは優しいかな…とか、上手く話せるかな…とか。自信が無さすぎる場合「予約しなきゃよかった」なんて思うことも。

まぁ、お店に入ってしまえばなんとかなって、ホッとしてお店を出ることになる。その度に「ああ、行ってみて良かった!」と満足感に浸るのが楽しい。


特別何かが変わる訳ではないけれど、確実に自分の心の何かは変わったと思う。少なくとも自己肯定感は『有名になりたい!』と思っていた過去の私より上がっている。

日常の、ほんの一コマを工夫するだけで自分の生きる世界は変わるのだ。


そして、面白いことに自分の日常で出来るチャレンジをし続けると活躍できる場所の幅も広がる。

少し前に自作本を売ろうと即売会に出店してみた。

同じ出店者さんとお話する機会に恵まれた時、本の即売会は未経験で今回初めてで、一人での参加だと言うと「初参加で一人はメンタル強くないと出来ないよ」と言われた。普通は人気のブースとデビューしたてのファンが少ない自分を比べて自己嫌悪に陥ることもあるのだと。だから初参加は心の支えとして友達に売り子を頼んで参加する人も多いと。

少し前の私ならそうだったと思う。でも、応募する前からどこが人気だとか優れていそうとか全く気にならなかった。私は私のブースに来てくれるお客さんを相手出来ると思うだけで楽しみで仕方なかったし、当日もそうだった。

ああ、精神的に自立したいと描いていた理想の自分に近づけているんだな。


もしかして、このまま日常にチャレンジを加えていけば一周まわって有名になってがっぽり稼げる日が来たりする!?…なんて。


もしそこまでになったら高級旅館でも予約して、自分を褒め散らかしてやろう。そう思いながら次にチャレンジ出来るものを探すのでした。

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