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「休む」ということ|翔平

「休む」ということ

幼い頃から、休むことが怖かった。そうはっきり認識したのは小学生の頃。私は小学生から高校までずっと卓球をしてきた。小学の頃、部内リーグが嫌すぎて練習を始めてサボったことがある。親に行きたくないと言い、ベットから出なかった。そのたった練習時間の3時間がとてもとても長かった。親からも何で行かないのかと聞かれ、部内リーグで負けることが怖いなんて言えず、次の練習の時に仲間から「あの日こんなに楽しいことしたのに」と言われた。その時、休んだら仲間はずれにされる、友達がいなくなる、だから怖いのだと認識したのを覚えている。

そこから「休む」ことをやめた。中学生の頃は1年に362日ラケットを握って卓球をする日々だったが練習を休んだことはインフルエンザになったときぐらいだった。風邪を引いていても練習をしていた。たまたま今日休んでしまったら今日はいつもと違う練習メニューで仲間は新しいことを教えられていたら置いて行かれる。私のいない間に悪口を言っているのかもしれない。私の居ない環境に慣れてしまわないでほしい。そう思って学生時代を生きてきた。

が、社会人になって「有給」があった。年に3回はとらなくてはいけないからドキドキした。上司に申し出るときも、有給の当日も朝出勤時間に来ていなくて電話がかかってくるんじゃないかとヒヤヒヤもする。働いていないのにお金をもらっていて、私が居なくて仕事が回っていて、会社とはそういうところだと分かっているつもりなのだけれど、使い物にならないやつだなとか、いつも何しているんだとか思われているんじゃないか、やっぱりとても不安だった。

でも部署移動してきた会社の先輩が「有給は取るためにあるから、休んでいいんだよ。リフレッシュしてまた仕事頑張れたらそっちのがいいよ。」と教えてくれた。そして休んだ翌日は前日の仕事内容も連絡してくださった。たったそれだけだけれど私にとっては大きかった。分からないことを少なくでき、状況把握ができることが自分にとって重要ということも分かった。


休むことは全て悪なのではないという新しい意識が心を軽くした。

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